14歳

14歳は特別な年だってたくさんのミュージシャンや映画監督や小説家や俳優の人たちが、たくさんのかっこよくて素敵な大人たちが言う。私は自分のことをミュージシャンと言えるほどの人間でもなければ映画監督でも小説家でも、大人でもなんでもない。でも私にとってもやっぱり14歳は特別な年だった。12歳は苦しかった。13歳も苦しかった。苦しかったし寂しかった。ほんとは今も苦しいし寂しい。でもそれだけじゃなかった。だって音楽があったから。14歳のころ初めて出会った音楽たちは退屈で苦しくて孤独な世界にひとつのちいさな光を射してくれてそしてそれをずっと頼りにして生きている。大切なものや人はたくさん在るけど14のあのころ出会ったものと気持ちはたぶん人生で一番の宝物なんじゃないかって思う。どうしようもない自分からなかなか変われないけどでももがいてやろうって思わせてくれたんだよ。そんな自分のためとあの頃みたいに誰かの何かのきっかけになりたくて、ずっと歌を歌ってる。


一発目の弾丸は眼球に命中 頭蓋骨を飛びこえて 僕の胸に
二発目は鼓膜を突き破り やはり僕の胸に
それは僕の心臓ではなく それは僕の心に刺さった

                  十四才 / THE HIGH-LOWS
この歌をはじめて聞いたとき思わず笑ってしまった。笑いながら、泣いた。ずるいよハイロウズ。こんな歌を歌うなんてほんとにずるいよ。14才にしてやるぜなんてさあ。ああいつだってあのころのこと思い出す。たぶんこの歌が二つ目のきっかけ。



Berryz工房菅谷梨沙子ちゃんは今日で14歳になる。彼女はどんな1年を過ごすんだろう。右も左も分からないようなころに飛び込んだ(のか放り込まれたのかはわからないけど)芸能界という特殊な世界で生きて14歳という年になにかを見出すかどうかなんて知らないけど、素敵な1年になったらいいなと思う。準主役を務めた映画『ほたるの星』の彼女は素晴らしかった。写真集では鳥肌が立つような、思わず唾をごくんと飲み込んでしまうような表情をいくつも魅せる。去年さいたまスーパーアリーナでソロで歌った『愛する人の名前を日記に』も素晴らしかった。菅谷梨沙子は天才だって冗談でもなんでもなく思ってる。もっともっと彼女が(当然Berryzのみんなも)素敵な作品に出会えたらいいなと思う。そしてそれが多くの人に伝わればいい。

見た目も中身もどんどん大人になっていくけどたまに見せる彼女の繊細で儚げな雰囲気はずっと変わらなくていつかふっと消えてっちゃうんじゃないかなあって思ったりもする。SSAのソロの時はまさにそれで彼女は心をこめて力強く歌い上げていたけどなんだかどうしようもなく寂しくなって、だから最後にBerryzのみんなのもとに帰っていったときはめちゃくちゃほっとしたことを覚えてる。天才は危うくて、そしてひとりじゃ生きられないんだよ。帰る場所があって良かった。

誰もあなたを傷つけませんように。大切な1年になりますように。誕生日おめでとう。